私は演奏者として音楽を表現し、聴衆に聴いてもらっています。
楽器に限らず歌唱でも、音楽を表現するために様々な工夫がされますが、どのような心持ちでパフォーマンスするかということは、あまり考えられていないように思います。
もちろん人には好みがありますから、聴衆をいつでも感動させられるとは限りません。
今回は、どうやったら聴衆に受け入れてもらいやすいかを考えてみます。
独りよがりの表現になっていないか
自己満足のための演奏になっていないか
私は目立ちたがりなので、自分の音色を立てて演奏するのが好きです。
しかし、聞いている側からすれば、ずっと同じ音色ばかりでは飽きてしまいます。
誰に聞かせるでもなく一人で遊んでいるならいいですが、発表会など他人に聴いてもらう場で同じようにしていては、人の心を動かすことは難しいでしょう。
感情を込めすぎていないか
「千の風になって」で有名な秋川雅史さんがあるテレビ番組(何の番組だったかは忘れてしまいました)で「どんなことに気をつけて歌っているのですか?」というような質問に対し、「感情を込めすぎないようにしている」と答えていました。
当時まだ中学生だった私には全く理解できませんでしたが、最近になってその意味がなんとなくわかるようになってきました。
人は誰でも、他人の激しい喜怒哀楽を受け入れるには相当な労力が必要です。
感情をコントロールすることで奥ゆかしさが生まれ、もっと知りたいと思ってもらえるようになるのです。
初めて生のオーケストラを聴いたときに感じたこと
私が初めて生のオーケストラを聴いたのは、大学4年生のときでした。
吹奏楽に慣れていた私は、迫力あるサウンドというものを想像していましたが、その日の演奏は真逆で、とても繊細で静かな音楽でした。
音量が小さい分、より耳を澄ませてその音楽の世界に入り込もうとします。
ずっと音量で押しつけられる音楽を聴いてきた私は、吹奏楽人生10年目にして初めて、引き込まれる音楽というものを知りました。
自分の音楽に聴衆を招待する
相手の心が動くかどうかはわからない
冒頭で述べたように、人には好みがあり、受け入れやすいものや受け入れにくいものがあります。
「地元特産の岩牡蠣です」と言っても、食あたりでおなかを壊すのが怖くて食べられないという人には、そのままではどうしようもありません。
相手に働きかけることはできる
相手の心が動くかどうかは、相手が決めることです。
しかし、相手の心を動かそうと働きかけることはできます。
先ほどの岩牡蠣の例を使えば、炭火で焼いて香ばしい香りを届けるといった働きかけ方があるかと思います。
演奏するときの心構え
楽器を演奏するときには、表現したい音楽があるはずです。
聴衆をあなたの音楽の世界に招待するつもりで演奏してみましょう。
印象が大きく変わると思いますよ。
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