日向坂46の2ndアルバムのリード曲「君は0から1になれ」(このページではゼロイチと略します)のMVが公開されました。
音楽的に面白い曲だなと思いましたが、ちょっと思うところもありました。
音楽的にとても面白い!
「誰よりも高く跳べ!」を意識して作られている
初めて聞いたときから、Aメロ(?)でギターが左右から交互に聞こえてくる箇所で、「これ聞いたことある。もしかしてあの曲と関係があるのか?」と感じ、Bメロに入ったときにそれは確信に変わりました。
日向坂のライブに行ったことのある人ならだれもが知っている「誰よりも高く跳べ!」(通称:誰跳べ)とそっくりなのです。
誰跳べが明るい曲調なのに対し、ゼロイチはかなり重苦しい雰囲気が漂っていますが、曲の展開が非常に似ています。
箇条書きで関連を列挙すると
- Aメロでギターが左右から交互に聞こえてくる
- Aメロで2拍目からメロディが始まる
- Bメロへの展開の仕方が同じ
- Cメロへの展開の仕方も同じ
- そのため、メロディを入れ替えても歌えるところが多い
- 歌詞の主張が似ている
- 特に、2番のAメロ後半の「背伸びしながら 右手を天まで伸ばせ! 届かないのは 1mm先で待つ夢」と「背を向けるより 正面突破しよう どんな夢も予想つかない明日にあるんだ」は「背」「夢」といったワードが重なり、呼応しているように思える
ゼロイチの作曲者のdoubleglassは、誰跳べの作曲者でもあり、これはあえて似せていると言えるでしょう。
日向坂46のライブの定番曲である「誰よりも高く跳べ!」は、改名前のけやき坂46の頃に発表され、以後ライブで欠かせない曲となっています。
全然雰囲気が違うのにその定番曲だとわかるようにすることで、日向坂46のアルバムリード曲としての役割を担っています。
聞き手を裏切る小節数
多くの曲は2, 4, 8, 16小節ごとにまとまりがあります。
このおかげで、ライブの時にどんな曲でも同じようなパターンのコールが使えるわけですが、ゼロイチには余計な1小節が数回入っています。
これにより、聞き手に「おや?」と思わせて注意を引き付ける効果があります。
しかもそのうちの1回は4分の2拍子で、拍数まで変わっています。
アイドル楽曲でここまでやるのは、かなり攻めているなと思います。
ダンスパフォーマンスする側も、コールする側も大変そうですが、聞いている分には非常に面白いです。
頭欠けの2拍3連
最後のサビの直前には久美さんのソロパートがありますが、ここも先ほど紹介した追加の1小節です。
さらに、2拍3連符二つで最初の音は休符という、かなり難しいリズムです。
ここもこれまでの流れを裏切っていてとても面白いです。
音楽的には面白いけれど…
先述のように、音楽的には非常に面白いです。
けやき坂46の頃の曲を思わせる作りと、欅坂46を思わせる曲調で、日向坂46のルーツ(ゼロ)を色濃く含んだ楽曲になっています。
ただ、個人的にはこの傾向はあまり好きではありません。
「過去のしがらみ断ち切っても困ることなんかない」と言っているのに、思いっきり過去にしがみついているように思えます。
1st アルバムのタイトル「ひなたざか」くらいの残し方なら良かったと思いますが、2nd アルバムのタイトルは「脈打つ感情」で、どことなく欅坂46の雰囲気を感じます。
そして、昨年加入した4期生は1年以上メイン曲に参加していません。
これもまた、欅坂46の後をたどっているように思えて、余計な事かもしれませんが、似たような軌跡を辿らないかと危惧しています。
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社会人になると、虚勢をはったり、逆に目立たないようにしたりと、「等身大でいること」はなかなか難しいと感じます。
歌詞で言いたかったことはきっと「変わらないでいること」が楽だということではないかと思います。
でも、変化しなければ、どんどん停滞して行ってしまうんですよね。
過去にしがみつくのでも、現在を永久にとどめようとするのでもなく、変化を恐れずに、まだ見ぬ未来を求めていかないといけないのではないかと思います。
いつだって、未来は味方だ
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